反抗期の気持ち

プラムビレッジのリトリートの時、 ベテランの穏やかなシスターの法話の中で、

小中学校のお子さんをお持ちのお母様の 子供の反抗期の悩み が話題に出ました。

ある参加者の女性がベテランのシスターに お子さんの悩みを相談されたそうです。

 

「うちの子は、小さい頃はとても可愛くて素直で良い子だったのに 最近はなにかにつけて逆らって、本当にどうしたらいいのか ・・・

毎日毎日ものすごく親子喧嘩をして 私はあの子を愛せる気がしないんです。どうしたらいいでしょうか?」

という相談でした。

シスターは こう答えたそうです 

「お子さんは成長して変わっていくものです。いつまでも過去のままではないのです。変化を受け入れて ありのままのお嬢さんを受け止めていく必要がありますね」

すると 相談者は 「その答えでは私は満足できないわ」と言って立ち去られたそうです。

シスターはちょっと伏し目がちに 少しため息のまじった微笑みを浮かべ 一息置くと、

「一瞬一瞬変化していく世界をありのままに受け止めるしかありません。変化する世界を慈しむのです」  と おっしゃいました。

 

子供が反抗すると 親は困惑しますね。 どうして言うことを聞いてくれないの? 逆らわないで頂戴、あなたはお母さんを困らす悪い子ね!

なんてことを言ってしまうこともあるかも。 

 

でも、子供には子供の事情と気持ちがある ということを 大人が忘れていることも少なくないのです。

大人の価値観だけで物事を判断し、何があったのか尋ねもせずに表面的な判断で決めつけてしまうこと

これは親が急がして気持ちに余裕がない時によく起こります。 

「早くしなさい!何をぐずぐずしているの!」

また、子供の気持ちを無視して 何かを指示したり命令していないでしょうか?

子供が本当はすごく嫌なことを無理強いしているかもしれません。

親は自分の判断が正しいと思い込んでいるので 子供の直面している事情にまで思いが及びません。

頭ごなしに命令して言うことを聞かせようとする時、

子供は理不尽さを感じています。

また、逆らう子供に怒りが反応して大人げなく本気で怒って喧嘩したりするかもしれません。

子供の気持ちや事情を聴いてみる心の余裕など吹き飛んで 罪人のように扱ったり、しかりつけること ってないでしょうか?

「お母さんの言うことが守れない子は悪い子!」

 

とっさに言い返せない または言い返しても言い訳だと余計に怒られる。

すると子供は口をつぐんでしまいます。

特に小さい子は言葉が出ません。

責めると更に心を閉ざしてしまいます。

 

気持ちの優しい子供だと 一方的に不満を抑え込んで我慢してしまい だんだん口に出せない不満がどんどん溜まってしまうこともあります。

元気のいい子供は 嫌なことは徹底的に反抗します。「嫌だ!」 抑え込もうとすると全力で抵抗したり「うるせえ!クソババア!」

この言葉が出てきたら 不満はかなり重症です。これまで大人が力でねじ伏せてきた結果です。

子供の気持ちに向き合うことができていたら この言葉は出てきません。

 

子供の反抗は力いっぱいの抗議の表現です。

もちろん、子供も親の事情を理解していないこともあります。

子供には言えない事情だってあります。

でも、誤魔化せるほど 彼らはバカじゃありません。

大人の様子は、こちらが彼らを見るのと同じくらい、いえ、それ以上に観察されています。気付いていますか?

 

子供は親の事を愛しています。 親はこの世で一番の自分の味方、であってほしいのですが、

 そうではない場合、子供もとても悩みます。

子供は 本当はお母さんが大好きなのです。 愛しています。 

でも、それが裏切られた と 感じた時 愛は憎しみに変わってしまいます。

これはとても苦しい事です。

自分が一番愛している人が憎いと思ってしまう葛藤は本当に辛い事だと思います。

 

第一反抗期(2歳頃)と第二反抗期(思春期頃)がありますが、

これは身体と心の成長の過程で現れます。

子供の反抗は 正常な成長の一過程です。

自我が発達して 自分の判断でやりたい という時期があります。チャレンジしたいのです。

そういう時は 面倒でも本人の意思をできるだけ尊重してみてください。失敗してもいいんです。

失敗すれば成功しない方法を学びます。

どうしても無理な時は 叱りつけるよりも、ただ、思い通りにならないことに悔し涙を流させればいいのです。

この世は思い通りにならないことがいっぱいある世界ですから

思い通りにならないたびに癇癪をおこしてはいられないのです。

涙の数だけ この世を知り、強くなります。

自分で体験して学びます。 

大人もまた同じです。体験が人を成長させます。

年齢が高ければ大人である とは限りません。

心の成長には個人差があります。大人でない大人もいらっしゃいます。

本人にあまり自覚がありません。

 

子育てで 親ができることは 子供に我慢を強いることではなく、過保護にすることでもなく、ただ

この世界の苦労を乗り越える勇気と、見守っている愛を与えてください。

まだ未熟なお前でも できるようになるんだよ。

強くなろうと願えば 強い心になれるんだよ

急がなくていいよ

今はできなくても 悔しがることはない。

誰だって最初はできなかったんだから

お前が 何かをできようができまいが どんな時も私たちはお前を愛しているんだよ。

 

そう、大人である私たちも  神にこのように見守られています。

神とは 親であり、先祖であり、私たち自身の魂でもあります。

人は愛を感じて愛することができるようになります。

自分自身を愛することができれば 子供も 家族も 友人も 全ての人にも

愛を向けるようになります。

蓮葉の水滴